依存から自立へ

かつてあんなにたくさんの天然杉を出していた能代二ツ井営林署など、いくつもあった営林署がなくなった。荒れた山と人の去った民家、廃業した工場、シャッターのおりた商店など。残ったのは、荒れた街並と疲弊した産業です。米づくりも国に減反をせまられ、身近な農協が合併で遠くなって、農業やくらしのことで相談にのってもらいにくくなっています。国も、農業や林業といった第一次産業や福祉、教育あのことは切り捨てているかのようです。より大きなものによりかり、任せておけば安心、という時代でなくなってきていることは、みなさんも肌身に感じていることでしょう。

不安が募って弱気になるほど、より大きなものに頼らないとやっていけないのでは? と思ってしまいがちですが、それは錯覚に過ぎません。たとえば、大型スーパーが進出し、みんながそこに買い物に行ってしまえば、商店街はやっていけなくなります。でも、そのスーパーがもしも撤退してしまったとしたら? こんどはほんとうに町では物が買えなくなってしまう。そして地元に密着し、ちょっとした相談にのってくれたり、きめこまやかなサービスをしてくれていた店も、もうない。・・失ってしまった後に気づいても、もう遅いのです。依存度が高まっていくほどに、依存する対象がなくては生きていけなくなってしまいます。・・こういう今だからこそ、国や県・市・町など行政、農協、大型スーパーや誘致企業など、大きな力によりかかるのでなく、自分たちが主体となり、歴史や文化を活かし、地元資源や知恵で、自立した地域づくりを考えた方がよいのではないでしょうか?




   
 
未来への構想 (2001年当時)
 
きみまち塾のサイト
二ツ井町のサイト
 
  自立する地域づくりとは?

大きな事業所に頼る時代から、小さな事業をたくさん起こして、助け合う時代へ
ここにあるもの、ここにいる人で、できることをする。
二ツ井町の高齢化率は36%、とお年寄りが多いです。秋田スギを育てる山や川といった里山と、米や野菜をつくる里地・田畑があります。そこでなにができるのでしょうか? いくつかのことを考えられます。
たくさんもうかる規模の大きな事業をおこす必要はないのです。ひとりひとりができる、小さなものづくりをたくさんおこしてつなげていくことができればそれでいいのです。そのことが「地域貢献」と「地域の元気」につながります。


1. 地域の知恵を活かしたものづくり

 
漬け物、きりたんぽ、比内鶏、山菜、鮎など、地域の伝統食の知恵を活かした加工品として道の駅などで売るのもよいでしょう。お年寄りやお母さんたちのこづかい稼ぎになるだけでなく、ちゃんとした経済活動に発展していきます。日々張り合いができ、みんな元気になれるのではないでしょうか? また、ものづくりを通した人と人とのふれあい、知恵の継承など、途切れていたつながりを復活することにもなります。いきがいやお互いに補い合う関係ができることは、医療や福祉以前に大事なことだと思います。


2. 観光と結びつけた農林業を

 
農家の人たちが自分でつくった野菜や漬け物などを直接販売する「大地の館」や、スーパーの地元の農産物生産者コーナーなど、農協だけに頼らない生産・販売活動がだんだん出来てきています。ブルーベリー狩りやジャムなどの加工品づくりも少しずつ広がっています。食の安全や生産者の顔の見える食べ物を求める人も増えて来ていますから、二ツ井に収穫体験や里山での暮らし体験といった間口が開かれていけば、都会などからよろこんで訪れてくれる人もいるでしょう。林業でも、植林体験や秋田スギの家づくりを求めての産地見学などができていきます。ただ観光地をめぐるだけでない、人や大地との本当のふれあいを求める人たちとの交流は、私たちが地元のよさを見直して、自信や誇りを取り戻すきっかけにもなるでしょう。


3. 二ツ井らしい林業を取り戻す

 
かつて営林署が天然秋田スギをどんどん出していた頃の栄華はないものの、戦後に大量に植林した造林秋田スギも成熟しつつあります。秋田藩の時代から受け継がれて来た長伐期林業をめざせば、ほかの林業地にない、長持ちする家づくりの材となる杉を育てることができます。営林署が手を引いた後の国有林も、小規模林家が多く包括的な施業ができなくなっている民有林も、併せて地域の財産として森林組合や民間の素材生産者に管理権や利用権を委ね、本来の秋田の林業である100年生以上の木材生産をめざす持続可能な「きみまち林業」を提案します。


4. 秋田スギをものづくりに活かす

 
米びつ、桶樽など、身の回りの生活道具を、プラスチックから木に変えていくことを考えれば、できるものづくりはたくさんあります。土木関係では、治山治水事業を木ダムなど自然工法に変えていくことで、樹齢ごとにちがう用い方で、多くの間伐材を使うことができ、長伐期林業のために必要な育林費用を支えることができます。そして、長く大事に育てることで得られる太い材は、地域型住宅「きみまちの家」の構造材や内装材となります。また製材過程で大量に出る、(通常は産業廃棄物になってしまう)杉樹皮を断熱材に加工することもできます。間伐材、廃材などをペレット、薪などの木質エネルギー源として利活用もできます。


5. 地域型住宅「きみまちの家」

 
真壁づくりの伝統的工法で「きみまち林業」で得られた木材がおもてに見える「きみまちの家」を、二ツ井町商工会と共に提案します。木材だけでなく、ゼオライト、木製建具、杉のキッチンなど、地域の自然素材でつくれるものを多く使います。調温調湿にすぐれ、五感にもやさしく作用する自然素材の家は、健康で気持ちよく住める住環境をつくってくれます。また、家づくりは大工、左官など、地元に昔から伝わる技術を発揮してもらい、若い世代にそれを継承していく場ともなり、人づくりにつながります。秋田スギの産地らしい家なみ、まちなみが揃っていくことは、地場産業である長伐期林業、木材、家づくりをつなぐことで、それらの産業がさかんになるだけでなく、二ツ井と同じ杉産地である山形県金山町のように景観条例などとあわさることで効果が大きくなり、すぐれた観光資源ともなり得るでしょう。


これだけの歴史や文化に裏打ちされたすぐれた資源、それを活かす知恵やものづくりの技術がある「自立出来る地域」なのですから、悲観することはないんです。二ツ井らしい地域づくりを、いっしょにやっていきましょう。
   
 

モクネットからのまちづくり提案書「モノからコトへ〜人と人、人と地域の新しい関係をめざして」(PDFファイル929KB)
 
     
▲このページの先頭へ   最終更新日:2005.03.03
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