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産地側の思い 


モクネット事業協同組合
代表理事 加藤長光
 
せっかくここで生きてくなら、よく生きたいよね。
 
   
 
 
   モクネットとは、米代川流域の秋田杉を使った家づくりの提案を通して、 流域の天然秋田杉の恩恵によって生きてきた地域をなんとかしよう、という運動であり、そこから発した事業です。 意外に思われるかもしれませんが、モクネット運動の前身木創をはじめて創立にした当時の発足メンバーは呉服屋、 スポーツ用品店など13業種の17人で、林業・製材業に関係に携わっている人は一人しかいませんでした。 私自身、内装屋でしたしね。




 

やっぱし、じもとがいいよな、あの娘もいるし・・・。


だれのことよ!
 モクネットが生まれた二ッ井は、藩政時代からずっと、天然秋田杉の供給地として有名なところでした。ところが、第二次大戦のための軍需、戦後復興、高度成長時代と乱伐を重ねたことで、何百年も地域を支えてきた天然秋田杉が、ついに枯渇し、地域全体が立ちゆかなくなってしまいました。

 山は荒れ、木を伐り出す人が減り、製材所が軒並み姿を消し、活気のあった町がさびれていく。その現実を前に、多くの人が二ッ井を離れていかざるを得ない情況がやってきました。

 自分たちの地域を立て直し、自分たちを育んできた二ッ井で生きていくためには、山をなんとかしなければ、という思いをもった町の商工会の若いメンバーたちが、のちにモクネット運動を立ち上げていくことになります。




 
   話し合いを進めていくうちに、林材業をなんとかするためには、 枯渇したブランドの「天然秋田杉」ではなく、 どこにでもある造林の「秋田杉」を使っていかなければ、それにはなんと言っても、杉を活かす 家づくりだ、という考えに至り、商工会ビジョンとして仲間たちとまとめました。それがモクネットの基本的な考えとしてずっと続いています。

 この考えを具体的に形にしていくのに大きなヒントをくれたのが、 生活クラブ生協を通して知り合い、いっしょに「森林問題を考える会・ネットワーク21」という勉強会をたちあげた、 埼玉県狭山市の丸橋かほるさんの「節のある木だって、いいじゃない」という一言でした。

  銘木・天然秋田杉の世界からしたら、商売にならない材を住宅資材として活かせるのだとしたら、 だめになった、と言われる林材業に一条の光が射すことになるからです。




 
   この丸橋さんとそのまわりの都市の仲間たち、そして二ッ井・米代川流域の青年たちとではじめた「森林問題を考える会」という勉強会は年に2回、 通算10年続きました。

 設計士、大工、材木屋、林家、生活クラブの組合員たちとさまざまな立場の人が参加するようになり、 「流域の秋田杉を大切に使ってもらいたい」産地の人と、「木の家をつくることで林業や地域づくりなどに関わりたい」と思う都市側の人とがつながるネットワークが、この会から自然発生的に生まれてきた運動がモクネットです。




 
家づくりはシロートでも、地元のプロだもんね
 二ッ井では、いわゆる業界人がひとりもいない中で林材業を住宅産業につなげるというのは無謀だ、業界のきびしい現実を知らないからそんなことが言えるのだ、という声がほとんどでした。しかし、業界との利害関係が絡んでいないこと、 めざすところが事業拡大よりも木材の町の再生であり、地域づくりであるという点で秋田県や林野庁からの支援を得られたことから、運動の思いに理解を示してくれる人たちのネットワークで、細いながらも運動として木材供給のシステムがなんとかできあがりました。 このシステムで住宅部材としてモクネット規格材の木材が流通する窓口となるのが「モクネット事業協同組合」です。

 


 
   モクネット運動に関わり、モクネットの家づくりシステムで家を建てたのは、まずは都市の人たちでした。その多くは、外材を使った家、住宅メーカーが商品として売る家ではなく、木の家に住みたい、できれば家づくりを通して日本の森林・林業に関わり、くらしをなんとかしたい、と考える人たちでした。

 そして、事業協同組合が生まれて10年、商工会の地域ビジョンから15年目にしてはじめて、林業・木材の町にふさわしい家並みが「山根町営住宅」として建ちました。これはモクネット運動を通してみんなで考えてきた「きみまちハウス」の第一号となったものです。運動が家並みという「かたち」になることで、 やっと木の町らしい情報発信の場ができた、そんな思いです。





 
みんな、
つながって
生きてこ!
 経済が減速し、成長時代のさまざまなシステムの破綻や、ずっと突っ走ってきた人々の疲労がおもてにあらわれてきています。また同時に、温暖化や自然破壊、エネルギー問題など地球環境の深刻な問題も表面化し、経済成長がもたらした負の遺産もはっきりしてきました。環境との共生を考え、行動する人が増えてきていますし、林野庁や秋田県も「資源循環型」という方針を将来ビジョンの一つとして持ちはじめています。 世の中全体が経済効率や便利さ快適さを追求することよりも、自然環境と共に地域社会一員として自分たちの生活を考えていく時代に入ってきたのです。

 私たちが経済最優先の行動や、「自分さえよければ」という個人主義の「行き過ぎ」に気がつくのは、かえってこういう時。苦しいけれども、先を考えていくにはいい時なのかもしれません。 モクネット運動の理解や広がりも環境共生の時代に入ってきている証しではないでしょうか。

 
 
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(c)モクネット事業協同組合   最終更新日:2001.03.31
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