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米代川流域の歴史  

国有林の天然秋田スギで潤い、
「営林署城下町」ともいわれた二ツ井。
その名声は過去のものとなってしまいました。
 
 


 戦後の国有林は、特別会計といって一般会計から切り離され、独立採算で経営してきました。戦後復興、朝鮮動乱と木材の需要が高まり、供給を上回ったので、国有林はどんどん売り上げを伸ばしていきます。本来、林業というものは、成長量を上回って伐採しては成り立たなくなるはずなのですが、昭和33年からの11年間、国有林は需要に応える形で、率先して「資産の先食い」的に、過伐傾向を続けました。秋田の国有林の雄である天然秋田杉ももちろん、その貴重な財源となっていました。

  高度経済成長が収束する頃には、天然杉も底を尽き、国有林は疲弊しきっていました。その上、国産材全体の需要の低迷と外材の圧迫とで、昭和50年からはずっと赤字が続くような状態となり、国有林経営は破綻に向かっていきます。
 



 国有林では、材が売れて羽振りがよかった戦後復興から高度経済成長の時期に、労働運動を背景に、それまで山村の雇用対策として、農閑期にだけ臨時雇いしていた山仕事の人たちを、いきなり2万人も常用にしています。国からの木材増産の要求に応えるには、労働組合との闘争が長引くことで、山仕事にならない状態が続くよりは、常用にして働いてもらった方がまし、という判断が現場にはあったのです。

 ところが、この予定外に定員内に繰り入れた人数分の人件費が、すぐに国有林財政を圧迫するようになります。民間であれば「リストラ」ということになりますが、一度国家公務員にした人は首を切れないので、職員が定年でやめていくまで、どんなに収入が減っても、借金をしてでも、給料を払い続けていく以外かありません。

 収入が減った上に、人件費は膨れあがっている。それでも「倒産」もできず、赤字ばかりが増えていく。かつての国鉄と似ていますが、山は、お金の収支だけで割り切れない、環境的な側面が大いにあるので、民営化してしまえばいいとばかりもいえず、難しいところです。
  作業経費
昭和22年 国有林野事業特別会計:収支を特別会計として国家の一般会計から切り離す
23年 国有林野経営規定:戦時中の乱伐を回復するために、材木の成長量に見合った伐採量に抑える
28年 公労法の適用により、「全林野労働組合」結成される
33年 経営規定の全面改正:(1)成長量を超えた伐採を許容する(〜44年) (2) 拡大造林の推進
34年 東北闘争:日給職員に対する賃金の定額制を求めて、労働組合が営林署と衝突
〜38年 労働組合の定員化闘争強化に押されて、常用作業員の定員内繰り入れが進む(〜38年までに2万人を常勤・常用とする)
41年 国有林の作業員の雇用形態を、農閑期に山村の地元農民を臨時雇いしてきた「季節的雇用」から「直営直傭」にあらためることを、組合側が国会にもちこんで大臣答弁で確認
42年 木材価格の高騰で、特別会計が黒字を迎える
47年 林政審答申:(1)収益事業(木材生産)と公益事業(国土保全)とを分離せよ (2) 肥大化した組織、人員の削減 などを提案
50年 特別会計が赤字に転じる。その主な原因は、人件費
55年 累積債務4736億円
60年 累積債務1兆3350億円
62年 累積債務返済のための借金がはじまる→赤字膨れあがる
平成 7年 累積債務3兆3308億円
平成10年 累積債務3兆8000億円
国有林野事業改革関連二法:特別会計は破綻した (1) 債務のうち1兆円は50年計画、無利子で返済、残りの債務は一般会計に振替  (2) 国有林の運営の重点を、公益的機能に移す





 破綻した国有林の収支は、特別会計から一般会計に繰り込まれる、つまり、木材の売り上げに頼るのではなく、国民一人一人が払う税金で赤字分をまかなうことになりました。具体的には、平成10年に「国有林野事業改革関連二法」が成立し、膨らんだ赤字のうち2兆8千億円は一般会計の国債に振り替えて凍結し、1兆円は利子を除いて50年計画で返済する、ということになりました。  

  この返済計画を実現するために、人員の削減、木材生産林と水土保全など公益林とのゾーニングの見直し、それに見合った施業計画の立案を、各営林局レベルとして行いました。

 その結果として、国有林では、木を伐採して売り上げる「資源利用」と治山・治水のための「公益的機能」との面積が、それまで7対3の割合であったところを、一般会計繰り入れとともに3対7に逆転させました。つまり、国有林経営の主眼も、「森林の公益的機能」に移ったのです。
 




 かつて多くいた国有林の作業員は定年でいなくなり、新規採用もしないので、今、営林署には事務方しかいません。育林・伐採の業務は民間委託となっていますが、あまりお金を使えないので、その事業量も減っています。

 一度人の手が入った人工林の区分けが「公益的機能」に変更になったからといって、手入れをしなくてよくなるわけではありません。経費をかけられないから、と放っておいた山は確実に荒れます。昔は国有林といえば、手入れの行き届いた森林であったのが、最近では国有林の荒れ方のほうがひどい、とさえ言われるほどです。
 
 
 
 
 
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(c)モクネット事業協同組合   最終更新日:2001.03.31
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