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木の値段(1)  

今では保護林にしかない天然秋田杉。
一度は本物の迫力を体験してほしい。
 





     
 

 

   秋田で育った杉には「天然秋田杉(天杉)」と「秋田杉(造杉)」とが、あります。

 「天然秋田杉(天杉)」は本当に野生の天然物、ということではなく、江戸時代から丹精して長く育ててきた、大径木の杉をさします。今ではほとんどなくなっていて、そのために、とても値段も高いものです。

  明治大正以降に植林されたものは「秋田杉」と呼ばれ、化粧材として使われる節がおもてに見えない「役もの」とそれ以外の「並材」と大きく二つのランクに分かれます。モクネットで扱うのは、この並材。いってみれば、一番普通の、なんの付加価値もない材です。

 

 


秋田杉の立米あたりの市売価格
 
天然杉材、化粧材、並材とはっきりとした3つのランクがあるのが分かる。
これから山から出てくる主流は並材。モクネットでは並材を使う。
(秋田県林務部木材産業課発行 月刊木材情報のバックナンバーより)
 
   
   これは、秋田県内の材木の市売価格の表。天然杉は、その美しさとブランド力、希少価値で、他とは「ひとけた違う」価格となっています。 造杉の中で、節がない化粧材、節のある並材とでは、その価格差は6〜10倍の開きがあります。 モクネットが扱う「並材」は大分安いのが分かりますよね。木の家が高い、というのは化粧材をイメージするからなのです。

 材になる前の原木価格で比べてみても、天然杉と造林杉では、10倍以上の値段の開きがあるのが分かります。

 

 



原木価格の推移

原木での値段の違い。同じ1立米あたりで、天然杉と造林杉とでは10倍〜100倍の差がある。天然杉のレートで商売してきた者にとって、造林杉はきびしい、と思えるのは当然かもしれない
  (秋田県林務部木材産業課発行 月刊木材情報のバックナンバーより)  
 
競りに出されている天然秋田杉。この3.3mの長さの丸太一本で100万以上の値がつく。  
   
 
造林杉の山。50本束になっても50万円ほど。  
   



 
 
化粧材として使われる出番を待つ「役もの」。「二方無節(二方向には節がありません)」「一上小節(上の方に小さい節があります)」というハンコの文字が読めますか?  
   
 民家の田舎家ではなく、数寄屋建築をはじめとしたいわゆる「和風建築」では、節を嫌います。一点のケガレもない、清潔感を好む、それが美学なのです。美学があれば、それに応じたランクづけが出てきます。それが材木の「役」で、いくつの面が節なしであるか、という基準で、「無節」「三面無節」 「二面無節」「上小節」という「役もの」があります。「役もの」のつもりで仕入れた木から挽いてみたら節がぽつんとあった、というようなものは「役落ち」とよばれます。 節のあるものは「役なし」で、下地材といって、天井や壁で覆ってしまって見えなくなる部分にしか使いません。 これが和室の美学です。





 
 
一本の天然杉からどう材を取るか、墨付けをしている。高価な天井板を、どのようにしたらどんな模様が出てくるのか想定しながら、ラインを決める  
   
 天然秋田杉は本当に美しいものです。現物を見れば、「あー、すごいなあ」と納得してしまうような美しさです。  住宅資材として、杉はヒノキと並んで、人気のある木です。秋田美人が紅潮したような美しい肌色が一番の特長で、少し青っぽいようなヒノキとは対照的です。杉の「赤み」は、芯のまわりの部分からとれます。芯材に対して、外周部に近い辺材は「白み」、両方にかかるようにしてとる材は「源平」といいます。

 また、天然杉は、造杉とくらべて、年輪が織りなす木の模様がはっきりとしていて、造杉の化粧材のまっさらな、あっさりした肌とはひと味ちがった、深み、味わいがあります。 木目が縦にまっすぐ通るすっきりした感じの「柾目(まさめ)」と、材に木目が水紋に似た模様を出す「杢目(もくめ)」とがあります。

 和室の造作材に好んで用いられる天然杉ですが、その主役はなんといっても、幅広い面積で目につく「天井」です。柾天井、杢天井それもそれぞれに赤・白・源平とがあり、さらに、天然杉の太い根っこを割って出てくる複雑な模様を用いた格天井(ごうてんじょう)(これは長い板としてではなく、尺〜二尺の正方形の板をタイルのように敷き詰め、竿縁でおさえて使う)があります。ちゃんとした厚みをもった板材を使うとかなり高価になるので、張柾・張杢と呼ばれる化粧貼り用の薄板もよく使われます。

 




 
   戦後すぐの昭和21年、能代の製材業界は、天然秋田杉について「銘木秋田杉」と呼ばれるように、ということで「銘木認定」を受けています。これは吉野杉などと肩を並べて和室の市場で、全国的に有利な競争力をつけていく助けとなりました。

 天然秋田杉の値段が高騰しだすのは、その枯渇が明らかになってきた昭和45年過ぎからです。市場に造林杉も出回るようになって、天然秋田杉の値段がぐんとあがったのです。

 昭和57年以来、「銘木・秋田杉」という名称で天然杉を出せなくなってきたので、造林杉を「秋田杉」、従来からの銘木秋田杉を「天然秋田杉」と呼びかえるようにしました。このランクができて数年後に迎えたバブル期には造杉の化粧材をぐんと引き離して値があがっています。なくなればなくなったで、ある限りは希少価値としてどんな高値でも買う人はいる、という構造がここにはあります。
 

秋田杉製品の価格の推移  
40年前にはそんなに値段が違わなかった並材(杉正角)・化粧材(杉鴨居)・天然杉(天杉柾平割)の三者間に、オイルショック後、大きな開きができる。和室のある木造建築は庶民には縁遠いものになり、枯渇した天然杉はなおさら希少価値としての高値を維持している。40年前にはあたりまえだった「木の家」が、手の届かないものになってしまった  
   





 今でも能代の製材業界の中には、ごくたまに高値で出る天然杉の原木から高級材を挽いて、料亭、茶室、旅館など、限られてはいても確実に残る和風建築に提供できる材で他産地と差別化をはかり、勝負しよう、という製材所もあります。長年良質な天然杉を挽いてきた製材所には、それだけの技術があるのです。こうした製材所では、天然秋田杉が入ってこないとしたら、化粧材は挽くでしょうが、並材を挽くことはまずないでしょう。

 ごく限られた天然秋田杉を活かした商売としてうまくいっているのが「集成柱天杉張」というものです。

天然杉の管柱。杢目、柾目が美しいが、とても高い
 
 
集成管柱。木の節が見えている  
   
 

天然杉化粧貼りの集成管柱。三面に化粧貼りしてあるよ、という印が断面についている
 
   

3.5寸角(10.5cm×10.5cm×365cm)柱 1本の値段の比較(平成11年3月現在)
    天然秋田杉 秋田杉 集成材  
   
4面無節
4面無節
特等(芯去)
特等(芯持)
化粧なし
天杉張
 
   
170,000
33,200
4,100
3,500
5,000
29,800
 
     

=モクネット規格材は特等。4面無節と10倍近い開きがある

     
 
(秋田県木材産業協同組合発行「森と木の国秋田--木製品カタログ」より)

 
 
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(c)モクネット事業協同組合   最終更新日:2001.03.31
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