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恐慌〜戦争〜復興〜高度経済成長 低成長時代に突入 これからの課題
 
地元が語る二ツ井の今  


高橋肇さん (田代濁川素材生産有限会社、通称・民林)
 
 
  高橋肇事務局長
   
この方にお聞きしました

天然杉がかつていちばん多く取れた地域で素材生産に携わる民林さん。最近、若い人ががんばっている、と聞いてお話をうかがいに行きました。

     
 

 
 
田代濁川素材生産(通称・民林)はかつての国有林の能代営林署仁鮒事業所管轄の天杉地帯にある  
   
 
民林の事務所。2Fは、千葉から新卒で就職した野田君の寮に改造した  
   
 
事務所の暖房はもちろん、薪ストーブ  
   
 私どものところも、ほかといっしょで、高齢化していました。このままでは、山の仕事をする人がいなくなる、という危機感をもちまして、なんとか若返りをはかり、教えられる者がいる間に山を育てたり木を伐ったりする知恵を伝えていかなければ、と決心したのです。

 まずは、都会に出ていた社長の息子さんを、説得しました。沼田にある林野庁研修センターで勉強させ、そして引き続き、秋田県のニューグリーンマイスターの資格もとってもらった上で平成8年に、戻ってきてもらいました。

 その後、平成9年には、千葉県の野田北高校を卒業した山田君が、是非山の仕事をしたい、ということで、来てくれました。遠方からの就職でもあり、はじめのうちは給料も安いので、事務所の2階を改造して住めるようにし、食事は社長の家で夕飯を出す、ということで、いわば、賄い付きの下宿のような受け入れ体制を作りました。3年間、ここで寝泊まりして、今では能代から通ってきています。この前、結婚したので、ずっと続けてくれるものと安心しています。
 



 
   昔は、山仕事は季節仕事だったものです。秋の稲刈りが終わってから田起こしをするまでの間山に入って現金収入を得て、後は農業で半ば自給自足で生きていく、というのが普通だったんです。なにしろ自然相手の仕事ですから、一年中平均して仕事があるわけでないのです。最近では、雇用保険に入っておいて、山がひまな何ヶ月かは失業保険で食べる、というやり方もよくありますよ。現業はそういうのが多いんです。

 
秋田県の山林労働従事者数と年齢別構成比。人数が減っている上に、高齢化が進んでいる  
(秋田県林務部発行「秋田県森林・林業の概要」平成12年度版より)  
 でも、これから家族をもつような若い人に来てもらって、山のことをちゃんと教え、山仕事を継いでいってもらおう、と思ったら、そのやり方ではうまくない。普通の会社なみに通年雇用にして、労働時間や保険、有給休暇など、福利厚生をきちんとしないとね。ただでさえ「きつい肉体労働」ということで敬遠されているのですから。

 ところが、これが容易なことではないのです。私どもの会社ではそれを実現し、今では50代3人、40代2人、30代1人、20代2人の計8名を通年雇用していますが、そのことによって農林大臣賞をいただきました。工業やサービス業ではあたりまえのことを成り立たせることがどれだけ大変か、といえば、農林大臣賞をもらえるぐらい大変なことなのですよ。



 
   8名の通年雇用を実現するには、年間を通して事業量を確保する必要があります。計算しますと、年間7000-8000平米の事業量がないと、まわっていきませんね。ですから、5月から11月は国有林での請負で植林、育林、伐採作業をし、ほかには、一般公売で、あるいは山林所有者から直接立木を買って、伐って、大館や能代の原木市場に出して、売っています。しかし、原木価格が安く、伐って出しても思うように売れないご時世ですから、ほかにも自助努力で、白神や二つ森の登山道整備、水沢参考林の木道整備などの事業をこちらから提案し、工事を請け負う、ということもしています。

 国有林の方針が木材資源の利用から公益的機能に重点を移してからは、情況はきびしいです。同じ植林でも、伐採した直後に予算がつかなかったからといって、7年間放置してあったところに植える、というような、質的によくなく、苦労が多いような仕事も多いです。国有林としては手をかけるだけの金がないから、ということでしょうけれど、そんなことしたら、私たちが苦労する以前に山も荒れますよ。それこそ、公益的によくないと思いますがね。国の施策が林業をきちんと考えるような施策に変わらないと、ダメでしょうね。



 
 
チェーンソーが並ぶ道具置き場  
   
 
冬の積雪期にはかんじきを使うこともある  
   
 福利厚生のほかには、安全管理につとめています。山の仕事というものは、気のゆるみから起きることが多いので、毎朝、それぞれの班の現場に行く前に必ずここでミーティングをします。それも必ず道具箱の前で行います。道具をおろそかにすればきっと事故につながるからです。さらに、現場に行ったら、班の責任者を中心に、仕事の段取りを再確認します。おかげさまで、労災は出していないです。

 また、若い人をただ雇えばいい、というだけでなく、しっかりと技術を伝えていくために、もう60代以上で年金暮らしをしているベテランの方に、夏の期間だけ入ってもらって、班長を務めてもらっています。ひととおり理解した技術を経験で肉付けしていくには、長年やってきた人のアドバイスがどうしても必要だからです。山を育てるのは時間がかかりますが、人を育てることも同じですね。また、人が育たなければ、山も育たないのです。




 













父ちゃん、お母ちゃん、にいちゃん、ぼく。みんなで「い・た・だ・き・まーす!」
 単純に利益ということだけ考えれば、人件費や福利厚生費といった支出を減らした方がいいのかもしれません。そういう意味では、私どもの会社の本当の目的は利潤をあげることそのものにあるのではないのです。

 国有林がだめになって、営林署の天下であったこの仁鮒の奥の田代・濁川地区は、本当にさびれてしまいました。天然杉は出ないし、森林鉄道もなくなって、ここらへんは過疎になりました。昭和40年代からあとは、ここで生まれても、働き口がないので、成人すれば出ていってしまう。また、残っていたとしても、お父さんが出稼ぎに行かなければならない。夕飯どきに食卓にいるのは女こどもと年寄りだけ。そんな家族が離散するような情況になってしまいました。今じゃ、それがほんとに年寄りだけになっています。

 せめて、「生まれたところでずっと、家族そろって平和に生きていける、そんな地元にしたい」という願い。それが私どもの会社の今の経営方針にそのまま反映しているのです。私どもの会社がなんとかやっていっている、それがひとつの希望の灯となっていれば、うれしいです。
 
 
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(c)モクネット事業協同組合   最終更新日:2001.03.31
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