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山を育てる
山仕事のしかた
山の値段
伐採量・需要・造林面積
恐慌〜戦争〜復興〜高度経済成長 低成長時代に突入 これからの課題
 
地元が語る二ツ井の今  


渡辺俊一さん(北秋田森林組合加工課長)
 
 
    
   
この方にお聞きしました

渡辺さんは、二ツ井のとなり、鷹巣の森林組合の方。民有林の管理運営をしています。山から木を出す人にとって、今がどんな情況なのか、うかがいました。

     
 

 
 
秋田県の林家、保有規模別割合。5ha未満の小規模地主が9割近くを占める  
(林野庁「林業の動向に関する年次報告」平成12年度版より)
 
 
 
サラリーマンなどで町に通っていたり、都会に出ていたりという「地の人」でない林家が急速に増えている。代替わりの時期でもある  
(林野庁「林業の動向に関する年次報告」平成11年度版より)   

 まず分かっておいてもらいたいのは、売っている材木の値段には、木を伐り出す人の経費や、製材する経費が含まれているっていうこと。木を出す方から言えば、材木の値段からそういったもろもろの経費を引いたものが、山の木の持ち主の手に残る原料の木の値段になるわけね。

 山持ちっていったって、このへんはみんな1haにもならないようなちっちゃな山持ちだから、山で食べてるわけじゃないんだよな。裏山をちょっと、じいさまからの財産として受け継いでいるってなぐらいのもんだ。(それがほんとに財産になってない、っていうのが現状なんだよな)

 で、ちっちゃな山持ちは農家、それも最近じゃ兼業で働きに出てる人が多いから、自分じゃ伐らない。うちみたいな組合に頼んだりして、人に伐ってもらうわけ。だから、当然その分の労賃とかトラックで出す運搬賃、つまり伐採経費を払わなくちゃなんないんだな。



 
   うちの方じゃ、雇ってる人を動かして木伐って、トラックで運んで、その木を売る市を毎月開く。製材所がそこに買いにくるわけだ。そこで売れた値段から伐採経費を引いた残りを、「原木立木価格」(山元立木価格ともいう)として、組合員にお返しする。それが森林組合の仕事。ところがここんところひどいんだ、その買われていく値段が安くって・・・。毎月最低記録を更新してるようなありさまだよ。ちょっとこの表を見てよ。
 
 


 
秋田県の森林組合がそれぞれに行う原木の競り市の入札価格の平均値。樹齢50年ぐらい、太さは14-28cm、という売れ筋の径級。平成11年までは、市に出る量が減る夏に値があがっていたが、平成12年に入ってからは、季節に関係なく、じりじりと下がり続けている。  
(北秋田森林組合平成13年2月提供資料より)
 
   

   なんでこんなに安くなるんだかね。40年前の値段だよ。はがきが5円で出せた時代といっしょだよ。伐採経費やなんかはみんな世間並みにあがってるのにな。引き算した残りってとこで決まってくる原木価格ってのは、きびしいわけだよな。

 伐採費用だけで少なくみたって伐採経費が立米あたり1万円、それに運搬費、原木市場が取る1割の手数料が含まれて上の図のような値段だよ。太いのばっかり出てくるわけじゃなくても経費は同じようにかかるんだから、ほとんど 手元に残らないの、分かるでしょ?
 
木を伐るのにかかる経費や苗木はあがっているのに、木材・木製品の値段はあがらない。そのひずみが丸太価格・立木価格の下落を生んでいる  
(「木の家に住むことを勉強する本」より)  
 組合っていうのは一企業としてもうけるためにあるんじゃなくて、入っている組合員に還元するためにある。製材所に売れた値段から伐採経費を引いたら赤字になりましたからって組合員からそのマイナス分をとるってわけにはいかないよな。最近は「えっ、こんだけしか残んないの?」っていう反応は通り越して「出しても、大して金にもなんないからいいや・・・」って投げてる山持ちも多いよ。



 
 
ワイヤーを吊って運び出す。日本の山は急峻で、運材にお金がかかる  
   


 木そのものの需要がなくなってきたってこともあるけれど、外材が入ってきたって引っ張られたってのもあるよな。米材や北洋材がとれるアメリカ、カナダや北欧なんかじゃ伐採経費かかんないんだもの。平らでしょ、うんと。日本の山は急だし人件費も高いし、競争になれば、きびしいよなー。

 木を出すために伐るっていうんならまだいい。木は育つまでに時間がかかるでしょ。材にして売る、っていうことができない時期にだって、下草刈ったり、枝打ちしたり、いろんな費用がかかるもんだもの。

 ある程度育ってきた20年から35年目のころには間伐っていって、何回か間引きをしないと山ごとダメになるしね。材にするつもりで伐る木の値段自体がこんなに安いんだから、間伐して出てくる劣勢材ならなおさらだわな。「じいさまがせっかく植えてくれた山、手入れする時期だべ、いい山になるぞ」と間伐勧めるのもこっちの仕事なんだけど、「間伐したって、もってかれるばっかりで、合わないよな・・・」って言われれば、まったくごもっとも、その通りでございますとしかいいようがないよ。山が泣いてる、ってよく言うけどさ、おれには山持ちが泣いてるのも聞こえてくるよ。
 巷じゃあ、7令級、つまり35年生から伐期だっていうけどさ。それにさしかかるぐらいの30年生の山からは、間伐も切り捨てないで、市場に出すんだけどね。その収支がざっと、こうよ。

(北秋田森林組合平成13年2月提供資料より)
   間伐材、出す意欲なくなるのも分かるでしょ? 要するに、伐採・運搬経費は、いい木にも悪い木にも、等しくかかるわけね。売れる値段と出す経費を比べてみれば、チップ・小径木・曲り材だと、経費の方が上回るから、出せば出すほど赤字はかさむ。それをどう、取り返すかは、14cm径以上の、材の値段いかんにかかってくる。

 もちろん、木が大きくなってくれば、チップ・小径木・曲り材がでてくる割合が少なくなってくるから、それで大分ましになってくるはずなんだ。次の50年生の表を見てよ。用途の構成比がもうちょっとまともになってきてるでしょ。


(北秋田森林組合平成13年2月提供資料より)

   やーっと50年目にして、黒字に転じるわけだ。今計算してきたのは、「今、伐ったとしたら」どんな収支になるかってだけのことだけど。ほんとは、これまで、木が一銭にもならないうちから大事に手をかけて育ててきた費用、かかっているわけだよ。 それは回収できていない、ということになるよな。
 この計算だって、材の値段がさがったら、すぐ成り立たなくなるよ。

(北秋田森林組合平成13年2月提供資料より)

おれたち山の木が、人間界ではこんなバクチみたいなもんだったとは!
 間伐をするかしないか、伐った木を市場に出すか出さないか、みんな、こういう相場にからんでくるわけよ。

 
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(c)モクネット事業協同組合   最終更新日:2001.03.31
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