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里地ネットワークの竹田さんのお話
里地たんけんにでかける前に、里地ネットワーク事務局長の竹田純一さんが、地元学について、お話してくださいました。
「学」という字がついていますが、これはいわゆる「学問」ではなく「地元に学ぶ」という意味なのだそうです。歴史学では文字で記録が残された史実が対象となりますが、地元学の対象は、普通のくらしの中の智恵や経験。地元学は、そうした智恵や経験を、過去のものとして振り返るだけでなく、むしろこれからどう活かしていくか、「先につなげる」ためにするもの、ということです。
地元の人が、地元のために、地元を再発見するのですが、ひとつのポイントとして「よそものの目を借りる」ということがあります。よそものとは、そこに住んでいない人や、住んでいてもそこのことを良く知らない人たちのことです。いいものが地元にあっても、あたりまえすぎたり、忘れられかけていたりして地元の人は気がつかないことが多い。よそものの新鮮な目で「あれは何?なんでそうなっているの?」と問いかけることで、再発見の手助けになる、というわけです。
地元の方は、なるべくおじいさんやおばあさんに案内していただくのがいいそうです。長年地元で生き、その土地にしかない智恵や経験を持っておられるので、そういう方たちと歩くことで、50年前から今までに至る「過去を含めて」地元のよさを教えていただくことができ、「再発見」に深みと厚みが加わります。
地元学では地元の方のことを「土の人」、よそもののことを「風の人」と呼ぶそうです。もちろん「土」が主役なのですが、「土」に「風」が吹くことではじめて、地元のよさが見えてくるというのです。「風」が吹くことで、地元での年寄りと若い人、こどもとの対話が生まれ、世代で分断されていた人同士の間にコミュニケーションが生まれます。智恵を教わる方だけでなく、教える方も教えることで再発見する、という風に、情報を共有することで、どちらもが生き生きしてくるのです。
水俣市、
環境創造みなまた実行委員会作成資料より
竹田さんがこの方法に初めて出会ったのは、水俣でした。水俣病問題で水が汚れ、意見が分かれ、自然も人心もズタズタになっていたところに、地元の市役所の吉本哲郎さんという方が、何年もかけて人と風土、人と人との関係を丹念につなぎ直していった。それが、今でいう地元学の元になっているのだそうです。長い時間かけて、たくさんの人が関わってつくった地域資源カード、水の経路図、地域人材マップなどを元に、昔からあった生活の智恵を活かす形での水俣市の総合計画、環境基本計画、地区環境協定、公共工事配慮指針などが生まれてきました。そして「何よりもよかったのは、地元がみんな仲良くなったこと」と竹田さんは言います。
地元学の実践が、何につながっていったか?
熊本県水俣市
いまや水俣は、自然と共生する政策ではもっとも進んだ自治体として有名。
愛知県美浜町
町全体が竹炭を焼く里となり、炭の加工品が一躍、特産品に。
岩手県湯田町
風車やバイオマスによる自然エネルギー導入の方向付けがされた。
今、竹田さんが事務局長をされている里地ネットワークは、環境省から依頼されたプロジェクトのために、本拠地である東京のほかに、佐渡にも事務所をおいています。そのプロジェクトとは、絶滅が心配されているトキが、檻や施設の中でなく、人が暮らす自然の中で生きていけるよう、佐渡全土を「共生と循環の地域社会づくりモデル事業(佐渡地域)」として組み直す、というものです。(くわしくは
里地ネットワークのホームページ
をご覧ください)楽しみですね。
「地域づくりは人づくり。地域の人たちみんなが自分たちの住むところを、まわりの風土との調和の中で『よくしていこう』と思うようになるまでには時間もかかり、丁寧に人と人とをつなぐ必要がありますが、いったん動き始めると、地元の人からどんどん動くようになっていきます。とても手応えのある、やりがいのある仕事です。」(里地ネットワーク事務局長 竹田純一)
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(c)モクネット事業協同組合 最終更新日:2001.11.01