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野添憲治先生インタビュー(前編)
> 3.機械に頼って、人が智恵はたらかせなくなった
大工たちも相当出稼ぎに行ったんだよね、建て売り住宅建てにね。で、新しい構法を身につけてくると同時に、この地方に本来古くから伝わっている中込継ぐ構法的なうちのつくりがなくなってく。まずは若い人たちが電気かんなとか溝彫りとかもってきて。あのあたりから変わったんだよな。最初のうちはかわいいもんで「おお、いいのあるごと」って。でも電気かんなでかけたの触れば、とげが刺さってな。いいもんでねえな。やっぱり、私なんか青年の頃は、いい大工は12尺ものをシューッと、一回も途切れずにきれいにかけるようなかんな、つくれたからね。
---- 野添さんの聞きがたりの本とか読んでいると、ひとつひとつの仕事にいろんな智恵がありますよね。先輩から聞いたことがだんだんできるようになってくるとか、あん時はこわい想いしたとか。そういった智恵が、機械になっていくことで、なめされていくようですよね。
機械っていうのは、あんまり自然と調和するんでなく、自然のマイナス面を克服するという発想でできているからね。もともとは木一本伐るんでも、その性質をよく知って、人間が工夫することで困難をなんとかしてきたんだけれど、機械は逆に人間がそんなに考えたり工夫したりしなくても、いいようにしちゃうんだよね。
---- 機械に頼っていると、人間が考えなくなっちゃうっていうことですか?
たとえば、立ってる木を根もとから倒すのに、木が途中で折れちゃっちゃあ、使い物にならない。のこでやってる時代には、二尺もある丸太伐るっていうのは大変なことだから、なんとか折れない倒し方を工夫するわけですよ。それを周囲の人から教えられ、自分でも工夫しながら、覚えていく。だから山の地形、木の生えている方角、そういうのを、勘で、体で覚えていくわけ。ところが今のチェーンソーだったら、木一本伐るのに大した時間かかんないわけ。バーッと伐れちゃうから、一本ぐらい折れたって、たいしたことないわけだよな。だから、智恵も訓練もなく、木どんどん折っちゃってるんだよな。
---- 木に対しても、丁寧じゃなくなってきているんですね。
そう。私も年に2回、営林署の現場に行って見るけど、ほんとにひだ(下手)なってんの。機械が能率よくやってくれるから、いちいち気遣ってやってるよりバーッとやった方が早く行く、ってことだよな。仕事がおおざっぱに、雑になっていっる。そこには、木が生えてから60年、70年経ってる、だから大切に伐らねば、っていう気持ちがなくなっているんだよね。私はのことかまさかりで育った世代だけど、今チェーンソーやめてのこでやろうなんて言ったって、誰もついてこないだろうね。でもそういう暮らしの中で身につけていたこんな智恵があるんだよ、ってことを教えていければね。
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(c)モクネット事業協同組合 最終更新日:2001.09.01